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つれづれ日記/安曇野ちひろ美術館前館長、長野県信濃美術館・東山魁夷館前館長松本猛(たけし)のBlog

カテゴリ: つれづれ日記

トルコへの旅

更新日:2011.02.22

会議場・劇場

トルコ エフェソス 古代ギリシアの遺跡会議場・劇場古代の水洗トイレ おしゃべりをしながら用をたした
?

古代の水洗トイレ

 しばらくトルコを旅してきた。アジアとヨーロッパの接点にあり、イスラムとキリスト教の重なり合う地域だという認識ぐらいは持っていたが、実際に目にしたトルコとはそれよりもはるかに複雑な文化がひしめいていて、圧倒された。
 最初に驚いたのは、トルコ人の日本語のうまさだった。もちろん、日本人観光客が訪れる土地はどこでも「安いよ!」くらいの日本語はしゃべるが、トルコのちょっとした店では、スタッフ全員がかなり流暢な日本語をしゃべる。それだけ、日本人旅行者がお金を落としていくということでもあるが、親日的であるということを加味しても、うますぎる。トルコ語というのは実はウラル・アルタイ語族に属すというから、日本語とのつながりもありそうだ。主語、目的語、動詞という語順も同じだから覚えやすいのだという。遠い昔、同じ種族が中央アジアから東と西に分かれていったのかもしれない。
 トルコ人の顔に彫りの深い顔が多い理由は、混血を繰りかえしたとき、ヨーロッパ系の顔が優性遺伝で出る確率が高いということだと説明された。確かに古い時代の絵を見ると今よりよりアジア人ぽい顔が多い。
 
 博物館で興味をひかれたのは、ラスコーやアルタミラに匹敵するような洞窟壁画がこの地域に残されていることもあったが、それよりも、世界で始めて鉄器を使った、BC2000年ころから栄えたヒッタイトの文明がエジプト文明と深いかかわりを持っていることだった。有名な楔形文字だけでなく彼らはエジプト風の象形文字も使い、残された絵は、エジプトの壁画の絵と同じスタイルだった。確かに地中海を挟んで向かい側にあるのだから当たり前なのだが、あらためて地理の重要性を考えさせられた。ギリシアとは陸続きでもあるが、アドリア海を挟んで目と鼻の先にギリシア半島がある。同じ文明が栄えたのは当たり前だ。すごいのは、遺跡が驚くほど広大であり、その保存がよく、町そのものを実感できることである。写真のエフェソスは、図書館の前に娼館があり、驚かされたが、ギリシア神話の神々は大変にエロスを大切にしていたので、今の感覚と同レベルには論じられないと説明を受け、妙に納得した。ここの図書館で初めて、いたみやすいパピルスの巻物から羊皮紙の冊子本への転換がなされたというもの知らなかった。
 
 有名なトロイの遺跡は9層にも渡って遺跡があった。各時代の都市が埋まっては、その上に新しい町ができていく。坂を下っては時代をさかのぼるという不思議な体験をした。トロイの位置はエーゲ海から黒海へ通じるダーダネルス海峡の突端にある。誰もがこの地を押さえたかったのだろう。それは黒海の入口、ボスポラス海峡をにらむ位置にあるイスタンブールの地理的重要性も同じであろう。
 アジアとヨーロッパの接点は文明が渦巻く地域であり、同時に幾多の戦いが行われた地でもあった。
 
 ワインが、トルコから生まれたということも知らなかった。素朴な赤ワインの味はフランスやイタリアとは違うが心に残る。
 ほかにも興味を引かれることはたくさんあった。トルコ人はイスラム教信者が多いが、意外とイスラムくさくない。宗教というものも、実は段階があるということを実感した。日本人の多くが葬式のときだけ仏教のスタイルをとるように、トルコ、それも都会では宗教色はかなり薄らいでいる。
 数千年の歴史、文化、宗教、味覚等々、整理できないほどたくさんの情報が頭の中にあふれている。もう一度、しっかりした知識を持ってゆっくり訪ねたい国だった。?

松本猛

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